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檜枝岐の曲げわっぱ

檜枝岐村、最後の曲げ輪師、星さんを訪ねました。
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福島県檜枝岐村。
周囲を山林に囲まれているため水田が作れず。よって生活必需品を購入するため、古来より林業が最も大きな産業でした。木製品を生産してこれを現金化して充てていたそうです。
桧枝岐村の黒檜(クロベ、ネズコ)と山桜の皮を使って、作られる曲げわっぱ。黒檜を 薄く板状にし、熱を加えながら、曲げて作るわっぱ(めっぱ)は、代々山人(ヤモード)の 冬の間の手仕事として受継がれてきました。
曲げ輪だけでなく、柄杓や鉢など色々な木工製品がこの地で作られていたそうです。
後継者不足、材料の調達困難、生活様式の違いなどから今や星さん一人だけとなってしまいました。
そして現在、良質の黒檜が取れず、今残っている材料で最後になるそうです。
星さんの作る曲げわっぱは完全な丸では無く、曲げ輪を乾燥させている時に収縮の違いから出る歪みをそのまま残して底板を合わせる方式を取っています。
今回、冬の間100個ほどしか作れない、貴重な曲げわっぱを4点譲って頂き、漆塗りで仕上げてみました。
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黒檜の木目が美しいので木地呂仕上げに。
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裏側は石目にして擦れても丈夫なようにしました。
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中の仕上げは4種類、朱、黒、溜、錫。

曲げ輪というとどうしてもお弁当箱のイメージですが、実は普段の食卓でも、とても便利で使いやすい器だと思います。

では一例を
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一番小さな曲げ輪にイクラ、次にほうれん草のお浸し、大学芋、大きな曲げわには混ぜ御飯をよそってみました。食卓で曲げ輪を使う事で蓋を開ける楽しみが増えました。

今冬、製作分より20点程、譲って頂けることになりました。
来年の春には展示会などで御目見得出来ると思います。
どうぞその時は是非お手に取ってご高覧下さいm(_ _)m
by utsugizawa | 2014-11-07 11:39 | 漆器 箱物